和海悠の『Passing through a Tunnel』〜方向性模索中〜

和海悠(かずみゆう)の好きな音楽、創作、IT、最近の興味と自分の気づいたことをダダ漏れに発信中。

欲しかったもの、得たもの。

ショッピングモール前のバス停には3,4人が並んでいて、僕は時刻表を確認した後、その列に加わった。スマホで最近ダウンロードした音楽をプレイリストに加えていると、その時はすぐにやってきて、始発駅直後であるバスはガラガラで、もちろん僕は一人用の席についた。

バスや電車等の乗り物の座席に座りながら、本を読むのは好きだ。それぞれが持つ独特のリズムに身体を揺らせ、その時に聞きたい音楽とともに(時にはイヤホンで無音にして)、自分で確保したスペースで本を読む。今日選んだ短編は予想以上の出来で、つい嬉しくなって時間が経つのはあっと言う間であった。

そもそも今日は職場の先輩と夕食の待ち合わせをしていて、その待ち合わせ場所に向かうにはバスと電車を乗り継いでいくプランが最安だったからバスに乗っていたわけだけれど、うれしい気分で気づいた。そういえば、目覚まし時計が欲しかったのだ、と。今はもっぱら携帯のアラームに頼りきりだけれど、そのアラームでも最近起きれない。スマホで乗り換え時間を注意深く検討したところ、急げば買えることが解った。

目的ができれば、遂行するまで。目的の電器屋は駅の反対側で、慌てて地下道に潜り込む。道順は解っている。そして、それが起こったのは、駆け足ですり抜ける直前だった。

見慣れた看板だったけれど、確かこの中には、以前欲しいと思った鞄が置いていたのではなかったか。その鞄は別の店舗で一目惚れして、一日がかりで検討して、結果やっぱりやめておくことにしたものだった。つい最近インターネットで検索すると、売り切れたようで、なおさら悔やまれていたけれど、もしかしたらあるかもしれない。でも、時間は限られている。淡い期待を取るか、それとも現実の必要性を取るか。

僕は、鞄を選んだ。エスカレーターを駆け上がってその店舗まで駆け足で向かった。売り切れただけあって、その店舗に売っているわけがなかった。待ち合わせには間に合った。何も得られなかったけれど、欲しい物を天秤にかけて右往左往している自分が、自分でおかしかった。何かを欲しがる気持ちは、人を元気にする。夕食も最高で、短編小説を読んだ後の嬉しい気持ちが消えることはなかった。